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膝蓋骨脱臼

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病気辞書:2009年7月17日(金)更新

膝蓋骨脱臼の概説

膝蓋骨とは俗に言う「ひざのおさら」の骨を意味しています。アーモンド状の一つの遊離した骨として認められていますが、膝を伸ばしたり曲げたりするときに働く靭帯を、ずらさずにスムーズに動くようにしている骨です。これは膝関節にあります。実際には大腿四頭筋、そして膝蓋靭帯という軟部組織と共に膝関節を伸ばす運動を行っています。膝蓋骨脱臼は膝蓋骨が大腿骨滑車という部分から脱落し、膝関節の機能障害を生じているものです。犬における跛行の一般的な原因です。膝蓋骨脱臼は膝蓋骨が整復不可能な完全脱臼で重度の跛行を示すものから、臨床症状を伴わない軽度不安定性のものまでさまざまです。

事故などで物理的に障害が起こった場合は痛みを伴いますが、膝蓋骨脱臼は遺伝的な骨格の異常が原因につながることがほとんどで、基本的な骨の異常構造による膝蓋骨亜脱臼(パテラ)では痛みがほとんどありません。しかし何度も脱臼を繰り返していると、滑車の構造をしたそのレールの溝がどんどん磨り減って、さらに脱臼しやすくなります。膝蓋骨は靭帯でつなぎとめられているため、この骨が脱臼してしまうとそれに付いている靭帯も共にうまく動かせなくなり、結局は足を着くことができなくなってしまい、足がつったようにケンケンしたり、スキップするように走ったりすることで、オーナー様が異常に気づきます。膝蓋骨脱臼は軽度のうちは、もし脱臼してしまってもすぐに元に戻るので、初期のうちはそれほど気にならないことが多いのです。しかしながら、脱臼の頻度が多くなり、病状が進行するのを放置すると、痛み、腫れ、歩行困難に陥ることもあるので注意が必要です。

膝蓋骨脱臼には、内側に脱臼する内方脱臼と外側に脱臼する外方脱臼があり、小型犬には内方脱臼が、大型犬には外方脱臼が多いと言われていました。小型犬における先天性あるいは発育性の膝蓋骨内方脱臼は最も多く発症します。小型犬での膝蓋骨外方脱臼は稀に発生し、急性で痛みのある跛行の原因となります。

最近は大型犬の膝蓋骨内方脱臼も多くなっています。 また大型犬と超大型犬における膝蓋骨外方脱臼は、しばしば重度な肢の変形を伴うことがあり、外反股、大腿骨頚の過度の前捻、内側広筋の低形成、大腿骨と脛骨の内側への弯曲(外反膝)、足の外旋などの特徴があります。それらの動物はしゃがんだ姿勢とぎこちない歩様を呈します。

また、急な階段やすべる床、老化などが原因で、家庭内においても脱臼はしやすいです。安静にしていないとひどくなったり、骨折につながりますので、すぐに病院へ連れて行くことが大事です。また激しい運動を控えたり、肥満を防止したりと、オーナー様にも予防や再発を防ぐように努力が必要となります。

膝蓋骨脱臼に特に注意したい犬種

膝蓋骨内方脱臼は、以下のような小型犬種に多く見られます。

ダックスフンド、ポメラニアン、パピヨン、チワワ、プードル、マルチーズ、ビション・フリーゼ、テリア種、スパニエル種、などの犬種

症状、歩行・走行能力への影響

急性外傷性の膝蓋骨脱臼は内方あるいは外方に起こり、負重しない跛行と触診での痛みを伴います。それらの症状は徐々に和らぎ、慢性脱臼の動物では痛みは軽度なことが多いです。先天性あるいは発育性の膝蓋骨内方脱臼に関連する臨床症状は、脱臼の程度あるいはレベルによりさまざまでです。


<膝蓋骨内方脱臼のレベル別症状>

レベル1
ワンちゃんの膝関節を完全伸展位に保ったときに、人の手で、膝蓋骨を内方に脱臼することができます。轢音あるいは骨変形はありません。臨床症状は無いか非常に稀にしか出ません。通常の身体検査で偶然発見される所見であり、活発な運動後の跛行の原因となります。

レベル2
ワンちゃんの肢に明らかな痛みはなく、突然スキップし、自然に脱臼が起こるという臨床症状を伴ないます。この状態は、レベル3の脱臼に進行することがあり、間欠的な跛行の原因となります。膝蓋骨は手で脱臼できますが、自然に戻るか、手で軽く元に戻ります。

レベル3
膝蓋骨はほとんどの時間脱臼していますが、手で戻すことが可能です。跛行は軽度であるか全く無いかもしれません。しかし時折、このレベルの膝蓋骨内方脱臼において、しゃがんだ姿勢とぎこちない異常な歩様を発現することがあります。

レベル4
膝蓋骨脱臼を手で戻すことができません。湾曲拘縮が起こり、足を最小限にしか着けないようになります。生涯の早い時期に矯正しなければ、骨と靱帯の重度の変形が発現し、しばしば修復不可能となります。罹患したワンちゃんは、蟹のような姿勢と弱々しい歩き方になります。より重度のワンちゃんではかろうじて歩行し、オーナー様の介護がなければ移動できません。

治療方法・リハビリ方法

サプリメントなど軟骨の修復ケアだけでは病状の悪化が軽減できないような場合、レベル2以上では、手術が勧められることもあります。大腿骨滑車溝増溝術(滑車溝を深く削り膝蓋骨が滑車溝を乗り越えにくくする手術)や、外側支帯縫縮術(膝蓋骨の外側の靭帯を縫い縮め、内側に外れ難くする手術)などがあります。この病気は以前は外科的手術でないと症状の回復は難しいとされてきましたが、手術にはリスクが伴うこと、予後が100%保障されるものとはいえないため、まずは悪化を防ぐケアをすることが望まれます。

それゆえ、ワンちゃんの身体検査を定期的に行ない、レベルの初期の段階でオーナー様が気付くことが理想的です。加えて、矯正を行なうまでは、ワンちゃんの膝蓋骨に負担を掛けないような散歩・運動を心掛ける必要があります。最適な運動方法は、車椅子を使った散歩です(カートセラピーとも言います)。この方法であれば、ワンちゃんの膝関節に負担を掛けずに痛みを感じることなく、相応量の運動を行なうことができます。使う車椅子は、K-9社の車椅子が最適です。




(参考文献)
・獣医臨床シリーズ 2000年度版 Vol.28/No.1 サウンダース小動物臨床マニュアル 長谷川篤彦 監訳 (文永堂出版)
・THE ENCYCLOPEDIA of the DOG 犬種大図鑑 ブルース・フォーグル著  監修 福山英也 (ペットライフ社)

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