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犬用の車椅子(犬用歩行器)で椎間板ヘルニアや股関節形成不全など、交通事故や老犬が原因で歩行障害がある愛犬が元気に走り回ります

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椎間板ヘルニア

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病気辞書:2009年7月17日(金)更新

椎間板ヘルニアの概説

犬の脊椎(背骨)は頚椎(7個の椎骨)、胸椎(13個の椎骨)、腰椎(7個の椎骨)、仙骨の4つの部分に分けられ、管状の椎骨が強い靭帯によって結合された組織で、椎間板と言われる繊維組織が椎骨間のクッションになっています。椎間板はコラーゲンとゼラチン質から形成され水分の富んだゼラチン様の髄核とその髄核を包むらせん状の繊維輪(多層繊維状組織)から構成されていますが、髄核のゼラチン質の成分含量などは犬種によって違いがあり、椎間板ヘルニアの発症しやすさと関係があると考えられています。

椎間板ヘルニアが犬で最も起こりやすい場所は胸椎と腰椎の移行部(背中)と頚椎(首)です。

犬が四肢で歩き運動するときの衝撃は脊椎に対してほぼ直角に加わります。、脊椎は、管状組織の中に脳からの指令を全身に伝える大切な神経系が通る脊髄も保護していますので、椎間板は運動の衝撃を和らげるためにクッション変わりとなって加わった圧力を分散しているのです。しかしその椎間板がいくつかの原因、要因によって衝撃を分散できず突出(ヘルニア)してしまうと、脊髄や神経根を圧迫し大きな痛みを引き起こし、神経性の運動障害がもたらされます。

椎間板ヘルニアに特に注意したい犬種

椎間板ヘルニアには2種類あります。この種類によって、発症し易い犬種が異なってきます。

@ハンセン1型椎間板ヘルニア

ダックスフンド、シー・ズー、ウェルシュ・コーギー、ビーグル、コッカー・スパニエル、ペキニーズ、ラサ・アプソ、フレンチブルドッグ、などの軟骨異栄養性犬種

2歳までに椎間板が変性を起こして脱水し、髄核のゼリー状の滑らかな構造は硬い乾酪状の物質に変化します(軟骨様異形成)。髄核の水分が低くなり弾力を失って、衝撃を吸収することができなくなるという髄核の変性を伴い、同時に繊維輪も変性します。このような状態の椎間板に負荷が加わると、破れた繊維輪から髄核が飛び出し、脊髄を圧迫します。ハンセン1型ヘルニアの多くは3〜6歳までの間に急性に発症します。

Aハンセン2型椎間板ヘルニア

ヨークシャー・テリア、マルチーズ、パピヨン、プードル、ミニチュア・ピンシャー、ミニチュア・シュナウザー、ゴールデン・レトリバー、ラブラドール・レトリバー、シベリアン・ハスキー、フラットコーテッド・レトリバー、などの犬種

椎間板が加齢や過度の運動に伴い変性を起こし、繊維輪の変性がゆっくり進行し徐々に弾力性が失われて行くことで、繊維輪が脊髄を圧迫します。このタイプの椎間板ヘルニアの多くは成犬から老犬に多く起こり、慢性的に経過し悪化します。

症状、歩行・走行能力への影響

椎間板ヘルニアで脊髄が圧迫されると様々な脊髄障害が出ます。この脊髄障害の発生の仕方には一定の順序があり、重症度によって5段階に分類されます。この脊髄障害の程度によって選択する治療法が違います。

<椎間板ヘルニアのレベル別症状>

レベル1
脊椎痛。ごく軽度の脊髄圧迫。機能障害は無いが、脊椎の痛みを生じている状態。一般的には背中を丸める姿勢をとることが多く、患者は運動したがらず、飼い主が背中を触ったときに痛がり明らかになる。身体検査の時、脊柱を押して検査することで痛みを確認できることが多い。

レベル2
不全麻痺、運動失調。後肢の力が弱くなり、ふらつきながら歩く。足先を引きずるように歩くために指先のつめが磨り減っていることが多い。足を裏返しにした状態で立っていることがある。

レベル3
完全麻痺、随意運動不能。後肢の動きは全く無くなり、前肢だけで進み、後肢は引きずるようになる。

レベル4
排尿不能。排尿が自分でできなくなり、膀胱には尿がたまった状態が続く。体が動いたり、吠えたりしたときに少しずつ尿がもれ出ることが多い。

レベル5
深部痛覚の消失。後肢の全ての感覚が無くなり、器具で後肢の指先などを強くはさんでも何も感じない。

治療方法・リハビリ方法

@発症中・治療前の場合

椎間板ヘルニアの治療には、内科療法(保存療法)外科療法があります。また、鍼灸治療も併行すると良いでしょう。

椎間板ヘルニアによる症状が急性でない場合や軽度の場合には投薬等の内科療法が選択されますが、この場合も、基本的には絶対安静で、トイレ以外はずっとケージの中で静かにし動かさないようにすることが重要です。

外科療法は症状が重度の場合、内科療法で回復しなかった場合、再発したときなどに選択されることが多い様です。レベル4以上の場合は、外科療法の選択がとられることがありますが、発症から48時間以内に処置した場合は回復までの時間が早くなるといわれています。有窓術によりヘルニアを起こしている椎間板や石灰化した椎間板物質を取り除くことで圧迫の原因をなくし、運動能力を回復することができます。

手術の欠点としては費用がかかること、麻酔などのリスクがあることなどです。たとえ手術をしても、再発する可能性もあるため手術を積極的に薦めない獣医さんもいます。早期に発見し適切な処置ができることが第一ですが、そのためにはオーナー様が小さな兆候も見逃さず、もしも発見したらすぐに対処することです。治療の選択は、納得がいくまで十分に獣医師の説明をよく聞き、愛犬の病状とオーナー側の状況、飼育環境なども考慮した上で決断されることが望ましいと考えます。

事前の予防策になりますが、椎間板ヘルニアが老化から来る場合は、過激な運動を避けるようにしたいです。特に急な階段は負担が大きいので、ある年齢になると要注意です。

一方で、ワンちゃんがずっと絶対安静でいることは、ワンちゃんにとって大変なストレスです。このストレスの蓄積によって、回復遅延・症状悪化が起こることも十分ありえるのです。それゆえ少しでも運動させてあげることに関して、オーナー様と獣医さんで判断・合意された場合は、後脚サポート用の車椅子を使った散歩という手段が一つの選択肢です。私たちの結論に過ぎませんが、特にK-9社の車椅子であれば、ワンちゃんの体に負担を掛けることなく、前脚の筋力のみで歩行・走行が可能であるため、実際の散歩が可能になります。

A治療後の場合

全体的な回復状況によってご判断いただきたいのですが、四肢の筋力が弱まっている(特に後脚の回復度合は、治療の時期・方法によって大きく異なります)ため、可能な限り早い段階でのリハビリを開始して下さい。前脚の筋力を以前の状態に戻しつつ、後脚にサポートを加えながら回復を促していくための、最適な方法は車椅子を使ったカートセラピーです。




(参考文献)
・獣医臨床シリーズ 2000年度版 Vol.28/No.1 サウンダース小動物臨床マニュアル 長谷川篤彦 監訳 (文永堂出版)
・THE ENCYCLOPEDIA of the DOG 犬種大図鑑 ブルース・フォーグル著  監修 福山英也 (ペットライフ社)

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